相続発生後の依頼一覧
遺産分割
親族が亡くなり、相続が発生すると、不動産や預貯金等の被相続人(亡くなった人)の所有財産の多くは基本的に相続人全員の共有となります。
相続人全員の協議によって遺産をどのように分け合うかを決め、この相続人による共有状態を解消するのが「遺産分割」です。
遺産分割は相続人全員が合意すれば自由に内容を決めることができますが、その基礎になるのは民法が定める法定相続分と、この法定相続分の修正要素である特別受益・寄与分です。これらは、任意の話し合いや調停で遺産分割協議が整わないときに、裁判所が審判によって分割方法を決める際の基準となることが法律で定められているものであることから、審判になればおおよそこうなるという想定が働き、その前段階の話し合いや調停の場でもこの法定相続分、特別受益・寄与分の考え方を基礎として協議をすることが多くなるものです。
すんなりと話し合いがまとまることもあれば、特別受益・寄与分の考え方がやや複雑で幅があること、記憶や証拠の散逸、家族ならではのファミリーヒストリーとでもいうべき長年の経緯・タテヨコの人間関係等の複雑な感情も絡み、お互いに連絡を取ることすら難しいということもあります。
弁護士は依頼者の代理人として、他の相続人へ連絡を取り話し合い、必要に応じて家庭裁判所での調停・審判の方法を用いていきます。事案によっては、被相続人の死亡前後の預貯金の動き等を金融機関に照会する等の事実関係の調査も行い、法的観点から事案を整理しつつ依頼者の思いを代弁し、依頼者が納得できるかたちでの遺産分割協議の成立までサポートしていきます。
弁護士費用
(1)交渉・調停・裁判の着手金と報酬金
着手金と報酬金を経済的利益((2)参照)により次の表のとおり算定します。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
0~120万円以下の場合 | 16万5000円 | 経済的利益の17.6% |
120万円超~300万円以下の場合 | 経済的利益の5.5%+9万9000円 | |
300万円超~3000万円以下の場合 | 経済的利益の11%+19万8000円 | |
3000万円超の場合 | 経済的利益の2.75%+92万4000円 | 経済的利益の5.5%+184万8000円 |
(2)経済的利益の算定基準
経済的利益は遺産分割の対象となる相続分の時価相当額が基本ですが、分割の対象となる財産の範囲および相続分について争いの無い部分については、その相続分の時価相当額の3分の1の額を経済的利益とします。
(3)紛争のステージ・審級の変更に伴う追加着手金
遺産分割事件では、裁判外での交渉で決着せず調停・審判へ移行した場合でも、追加着手金は発生しません。ただし、審判の抗告審に移行する場合は当初着手金の2分の1の額の追加着手金が発生します。
(4)着手金・報酬金の算定例
(遺産分割1:分割対象財産の範囲・相続分に争い無し)
遺産総額6000万円相当の相続において、相続分2分の1を主張して遺産分割協議を行う場合で、遺産の範囲および相続分について争いはなく、分割方法についてのみ争いがある場合
・着手金
着手金は64万9000円(=経済的利益1000万円×5.5%+9万9000円)
∵ 経済的利益は1000万円(=相続分相当額3000万円(6000万円×1/2)×1/3(分割対象財産の範囲・相続分に争い無し))
・報酬金
相続分3000万円相当の遺産の取得方法について合意が成立した場合の報酬金は129万8000円(=経済的利益1000万円×11%+19万8000円)
(遺産分割2:分割対象財産の範囲・相続分に争い有り)
遺産総額6000万円相当の相続において、法定相続分2分の1のところ、自分の寄与分と相手方の特別受益を主張し具体的相続分4分の3を主張して遺産分割協議を行う場合で、相手方は寄与分・特別受益を否定し、依頼者の具体的相続分は法定相続分の2分の1であると主張している場合(分割対象財産の範囲には争いなし)
・着手金
147万4000円(=経済的利益2500万円×5.5%+9万9000円)
∵ 経済的利益は2500万円=分割対象財産の範囲・相続分に争いのない部分3000万円(6000万円×1/2)×1/3+相続分に争いのある部分1500万円(6000万円×(3/4-1/2))
(交渉で決着せず、遺産分割調停を申し立てた場合も追加着手金は無し)
・報酬金
遺産分割調停で依頼者の具体的相続分を5分の3として36000万円相当を取得する内容で調停が成立した場合の報酬金は179万8000円(=1600万円×11%+19万8000円)
∵ 経済的利益は1600万円=分割対象財産の範囲・相続分に争いのない部分3000万円(6000万円×1/2)×1/3+相続分に争いのある部分600万円(6000万円×(3/5-1/2))
相続発生後の依頼一覧
遺留物侵害額の請求
被相続人(亡くなった人)は生前贈与や遺言・民事信託等によって自分の財産を誰に承継させるかを自分で自由に決めることができるのが原則なのですが、相続人の「遺留分」のために被相続人の自由な自己決定が一定の制限を受けることがあります。
亡くなった人(被相続人)の兄弟姉妹以外である相続人(配偶者、子・孫、親など)には、「遺留分」があります。遺留分は、相続人が希望すれば取得することが民法により保障されている相続財産における一定割合のことです。他の人への生前贈与等がされていることが原因で、相続人(遺留分権利者)が実際に取得することのできる被相続人の財産がその人の遺留分に満たない場合、その人の「遺留分が侵害されている」と言います。遺留分を侵害されている人は、生前贈与等を受けている人に対して、侵害されている遺留分に相当する額(遺留分侵害額)の金銭の支払いを請求することができることになっています。これが「遺留分侵害額請求」です(以前は「遺留分減殺請求」という少し異なる権利でしたが、2019年7月1日施行の民法改正で現在の遺留分侵害額請求権となりました。同日より前に発生した相続については現在でも改正前の遺留分減殺請求権となります)。
遺留分の割合がどれだけになるかは、相続人の組み合わせにより決まります。相続人全員の合計の遺留分である「総体的遺留分」を各遺留分権利者の法定相続分の比で分け合うかたちで遺留分権利者ごとの「個別的遺留分」が決まります。なお、通常、「遺留分」というときは個別的遺留分を指していることが多いです。
【総体的遺留分】
直系尊属のみが相続人である場合 | 3分の1 |
上記以外の場合 | 2分の1 |
(例)
被相続人の相続(相続人は配偶者P、子A、B、C。遺産6000万円)で、「遺産を全て子Aに相続させる。」という遺言が残されていた場合、次のようになります。
【個別的遺留分相当額】
相対的遺留分 2分の1
遺留分権利者の法定相続分の比 P:A:B:C=3:1:1:1
個別的遺留分
P 1/4(=1/2×3/6)
A、B、C 1/12 (=1/2×1/6)
【遺留分侵害額】
P 1500万円(=6000万円×1/4)
B、C 500万円(=6000万円×1/12)
【遺留分侵害額請求】
Pは1500万円、B・Cは500万円をそれぞれAに請求できる。
実際の事案では、遺産の評価額や生前の援助等を遺留分算定時に考慮するかどうか等感情的な対立も絡んで当事者間で話し合いがつかないことも多いです。そのような場合に弁護士が代理人としてお手伝いすることが可能です。
弁護士費用
(1)交渉・調停・裁判の着手金と報酬金
着手金と報酬金を経済的利益((2)参照)により次の表のとおり算定します。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
0~120万円以下の場合 | 16万5000円 | 経済的利益の17.6% |
120万円超~300万円以下の場合 | 経済的利益の5.5%+9万9000円 | |
300万円超~3000万円以下の場合 | 経済的利益の11%+19万8000円 | |
3000万円超の場合 | 経済的利益の2.75%+92万4000円 | 経済的利益の5.5%+184万8000円 |
(2)経済的利益の算定基準
経済的利益は遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)の権利行使の対象となる遺留分の時価相当額です(請求する額または請求されている額)。
(3)紛争のステージ・審級の変更に伴う追加着手金
遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)事件では、裁判外での交渉で決着せず調停へ移行した場合でも、追加着手金は発生しません。
訴訟へ移行した場合(交渉から訴訟または調停から訴訟へ移行した場合)、訴訟の審級が変わった場合(控訴審または上告審へ移行した場合)はその都度当初着手金の2分の1の額の追加着手金が発生します。
相続発生後の依頼一覧
相続放棄
弁護士費用
手数料として申述者一人につき5万5000円
相続発生後の依頼一覧
限定承認
弁護士費用
着手金と報酬金を次の表のとおり算定します。
着手金 | 報酬金 |
38万5000円 | 残余財産の11% |